ワークマネジメントとERPの関係 第一部:タスク、ステータス、ワークフローの基本

ワークマネジメントとは、仕事をタスクとして管理し、その状態と流れを見えるようにする考え方です。

タスクは、仕事を前に進めるための管理単位です。例えば、新製品シリーズのマスタ登録という仕事は、一つのまとまりに見えますが、実際には複数のタスクで構成されます。

新製品シリーズの品目区分を決める。
品目コードの採番方針を確認する。
販売品目、購買品目、製造品目のどれに該当するかを整理する。
在庫管理対象にするかを判断する。
販売単位、購買単位、在庫単位を決める。
標準原価や販売価格の前提を整理する。
BOMや製造工程との関係を確認する。
登録内容を確認する。

このように分けることで、新製品のマスタ登録という仕事を、管理できる単位として扱えるようになります。

タスクには、現在の状態があります。依頼受付、内容確認中、承認待ち、承認済み、登録中、登録完了、確認完了といった状態です。この状態を表すものがステータスです。

そして、ステータスの流れと、次の状態へ進む条件を整理したものがワークフローです。ワークマネジメントでは、タスク、ステータス、ワークフローの関係を見えるようにします。これにより、「今どこで止まっているのか」「誰の判断を待っているのか」「何が解決すれば次へ進むのか」が分かるようになります。

「あれ、どうなった?」の前に見えているべきもの

「あれ、どうなっていますか」
「今、誰待ちですか」
「もう承認されましたか」
「次に進めてよい状態ですか」

この質問が出る時点で、タスクの状態は見えていません。

例えば、新製品シリーズのマスタ登録が「進行中」とだけ表示されている場合を考えます。

依頼内容を確認している段階なのか。
追加情報を待っている段階なのか。
承認者の判断を待っている段階なのか。
ERPへ登録している段階なのか。
登録結果を確認している段階なのか。

「進行中」だけでは、これらの違いが分かりません。その結果、担当者への確認が増えます。承認者にも確認が飛びます。次の担当者も、いつ着手すればよいか分かりません。タスク管理をしているように見えても、実際には人への確認でタスクを進めることになります。

原因は、タスクの状態が粗すぎることです。

新製品シリーズのマスタ登録であれば、「新規申請」「内容確認中」「承認待ち」「登録中」「確認完了」のように、状態を分けておく必要があります。

状態が分かれていれば、次に動く人も分かります。
承認待ちであれば、承認者が判断する段階です。
登録中であれば、マスタ管理担当者がERPに登録する段階です。

「あれ、どうなった?」を減らすには、タスクの状態が見えるように、ステータスとワークフローを設計する必要があります。

タスクから課題が発生する

「品目分類が選択されていない」
「同じ製品なのに、別の品目コードで申請されている」
「在庫管理対象にするのか決まっていない」

このような論点が出ると、新製品シリーズのマスタ登録は次のステータスへ進めません。タスクを止めている論点が、課題です。

課題は、元のタスクと結びつけて管理します。課題だけを一覧に並べると、その課題がどのタスクを止めているのかが見えません。結果として、課題の説明欄に、元タスクとの関係や発生時の状況を事細かく書くことになります。これでは、課題管理一覧が読まれにくくなります。元のタスク、発生時のステータス、解決条件、解決後に進むステータスを項目として持たせることで、課題管理一覧は実務で使える情報になります。

例えば、次のように整理します。

元タスク:新製品シリーズのマスタ登録
発生時のステータス:内容確認中
課題:同一製品と思われる品目が別コードで申請されている
対応者:依頼部門、マスタ管理担当者、業務責任者
解決条件:既存品目との差異を確認し、新規登録するか既存品目を使用するかを判断する
解決後のステータス:承認待ちへ進行

この形にすると、課題は単なる指摘事項にとどまりません。タスクを次のステータスへ進めるための管理単位になります。

また、課題は大きさによって扱いを変えます。

「品目分類が選択されていない」といった小さな課題は、元のタスクの中で解決します。一方で、「同一製品が複数コードで申請されている」「在庫管理対象の判断基準が決まっていない」といった課題は、元のタスクだけでは解決できません。この場合は、独立した課題タスクとして管理します。

この整理ができると、課題管理一覧は細かな確認事項で膨らみすぎません。重要な論点がタスクのコメント欄に埋もれることも防げます。

この考え方をERPに広げる

ここまで、新製品シリーズのマスタ登録を例に、タスク、ステータス、ワークフロー、そして課題との関係を見てきました。

タスクの状態が見えれば、今どこで止まっているのかが分かります。課題が元のタスクと結びついていれば、何を解決すれば次へ進むのかも分かります。

この考え方は、ERPとの関係を整理するときにも重要です。

ERPにも、受注、購買、在庫、製造、請求、会計といった業務データの状態があります。一方で、その業務データを正しく登録し、運用できる状態にするまでには、人と組織が進めるタスクがあります。

ワークマネジメントでは、新製品シリーズのマスタ登録を案件やまとまりとして管理します。一方で、ERPでは最終的に品目マスタが品目単位で登録され、業務で使える状態になります。

次回は、ERPが管理する状態と、ワークマネジメントが管理する状態を分けて整理します。
そこから、ワークマネジメントがERPをどのように支えるのかを考えていきます。